慰安婦問題について。

私が考えるに、慰安婦問題というのは日本という国家が、戦争中の兵士たちによる強姦を公認し、また組織的に大々的に実行してしまったところに最大の問題がある。 どこの戦争であっても、占領地での兵士の女性に対する強姦は、残念ながら起きる。ただし、普通…

Neglect

私が幼稚園児から小学校にあがるかあがらな いかの頃母親が狭い台所でお前なんか産みた くなかったけどできちゃったおろしたかった けど結婚する前にもうひとり遊んだ人とおろ したしその時は産婦人科で両足をぱかっとひ らかされてとてもこわくてでも胎児は…

面倒臭いということ

生きるという事が、 ふいに面倒臭くなってくる年齢があると、 突然知った。 正確に言うと、色んな些細なことがら(愛しているとかいないとか)に、 拘るのが面倒臭くなってくるのだ。 それは、特定の人に対してだけではない。 今まで気に入っていた買い物も…

六人

詩の同人に出掛けた。 まだ、道の陽差しは強くて、でも空気はからっとしていた。 隣駅に着くと、慌ててお土産のお菓子を探した。 迷った挙句、アマンドの6色のダックワーズを買った。 会場は、近くのコミセンの中の小さい部屋で、真っ白くて新しくて冷房が…

絵の展覧会

絵の先生の、展覧会に行った。 秋葉原からひとつJRを乗り換えると、 そこはガード下の下町だった。 地図にある、古い果物屋さんで道を聞いた。 おそるおそる、飲み屋さんの間を歩いてゆくと、 洒落た画廊の灯りがあった。 画廊にはいろんな絵がつるしてあ…

時代

忘れてしまえ 汚染されたフクシマの事なんか 忘れてしまえ 自分の足で立って歩けない人間達の事なんか 忘れてしまえ 都合の悪い第二次世界大戦の事なんか 時代は廻るよ ほら、両脚を蹴って勢いよく一回転して くるっと回って世界中を驚かすんだ サーカスの時…

夢の中へ

見合い相手は、「今どきの若者には夢がない」と言った。 「なんで引きこもるんだかわからない」とも言った。 それから、カラオケに行って飲もうと言った。 ・・・私は、”普通”のことをしている自分が嬉しかったけど、アイドル歌謡が、内心馬鹿馬鹿しかった。…

社会的な動物

人間は、社会的な動物だ。たった一人でいると、本物の自信も、自尊心も身につかないのだと、突然気がついた。他人と自分を比較するから自尊心が必要になる。他人と一緒に、普通にいたいから自信が必要になる。私は、同情してくれる人に囲まれてひとりぼっち…

かんちゃんとヨーヨー

幼馴染の、かんちゃんが屋台で焼きそばを焼いているという。 久しぶりに駆け付けた町内会は、小さくてあったかかった。 かんちゃんは私を見て、「ほんとに来ると思わなかったよ」とぼそっと言った。 突っ立っている私に、かんちゃんは「ヨーヨー作ってみる?…

べとっとした接吻

その人の接吻はべとっとしていた 勝手にわたしの体を触るので わたしは何だか気分がわるくなって それでもなんとか この、お金をきちんと稼いでいる人に合わせていた これまで付き合ったBFはこんなんじゃなかった いつも、私自身に触れたいから触れてくる…

戦う

人はみんな自分の悩みとは自分ひとりで戦って答えを出していると知ったのはつい、最近のことだった。私には小さい時からカウンセラーがついていた。彼らはいろんな、役に立つことも立たないことも おせっかいに教えてくれた。いつの間にか私は、人に聞いて悩…

ガッコウと骸骨

私はガッコウが嫌いだった。 ガッコウは湿っぽくて暗い感じがした。 小学校で、どもる私は特別学級に連れてゆかれた。 授業を抜けるたんびに皆がげらげらと笑った。 特別学級は、理科室の隣にあった。 私は矯正が終わると、理科室の骸骨を眺めに行った。 ホ…

ある男

ある人に、別れとも取れる手紙を出した。・・・返事は来ないけれども、私は彼を信用している。それは何故か。 ・・・彼はおそらく、叩けばいくらでも埃の出る男だっただろう。酒と女に溺れたこともあれば、人を騙すこともあるのだろう。しかし、その分彼には…

甘え上手な男

ここのところ、ずっと悩んでいた。・・・被災地から出てきて現在、就職浪人の彼のことである。 話はやや前後するが、私が40年間、境界例の母親と一緒に暮らして学んだことは、「人は裏切る。人を騙す。人を陥れる面がある」ということだった。 「殺伐とし…

あなたの腕は大きくて細かった抱きしめられて暫くじっとしていた部屋にはイランイランの香りがたち込めていてカーテンは静かな薄緑色だったそれから私は見たあなたの腕が四方八方に伸びてパキラの木のようにどんどん大きくなって部屋中をジャングルのように…

りぼん

私は部屋着の胸元にりぼんをつけた それから長い髪をりぼんで束ねた 引き裂かれたこころを隠すために 詩を綴って精神を蝶結びにした でも夜になると 躰のりぼんがほどけてしまうのだった 心の傷はシフォンのりぼんで隠せない 体の傷は言葉の蝶結びで隠せない…

きみへ

きみは私のマンションのベルを押した 最初、宅配の人かと一瞬思った ドアを開けて、ひさしぶりに見た君は、前より薄茶色いバッグを提げて 「いままでありがとう」と言う 「仕事を探している」とも言う 君のポケットには本当は焦げ茶色に変色した放射線測定カ…

荷車と人力車

父は小さいころ 浦和の街で、よく祖父の引く荷車に乗せてもらったという 荷車で、道行く人を眺めるのが楽しかったという父は、駒込の大きな屋敷で生まれたのだが 祖父がダンスホールの経営に失敗したので 浦和の小さな一軒家に移り住んだ ある時、祖父は銀座…

愛が呼んでいる

友人を誘って、六本木の森美術館に行った。 森美術館は、六本木ヒルズの五十三階にある。私は、生まれて初めてヒルズの蜘蛛のオブジェの下で、友人を待っていた。周囲は噴水があって花が咲いていて、洒落たテナントに囲まれて凄まじい高層ビルが聳え立ってい…

ひとはただしく生きようとすればするほど 何だかどんどんひからびてゆく まるで揺りかごをゆらす母の律動を忘れたかのようにけもののようなふるまいは夜に身を潜め 昼間は仕事をしてきりっと背を伸ばして 休憩時間にラーメンを食べてばかばかしい話をするの…

ランボーの夜

この間の金曜日の夜、ランボーについての朗読会に行った。 詩の先生が、版画と一緒に詩をつけた本を出版すると言うので、会の仲間と茅場町に行った。案内に載っていたビルは、たどり着いてみると戦前の古い趣のある建物だった。 早く着きすぎたせいもあり、…

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」の不安について

今日、電車の中の広告を見ていたら、「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」が既に100万部を突破しているらしい。 もちろん、その中には熱烈な「ハルキスト」もいるだろうし、宣伝につられて買いましたと言う人もいるだろうし、嫌いだけどなんでか…

本当のこと

時々、支援所にいて憂鬱になる瞬間がある。 私のいる支援所にいる大抵の子は、いわゆる引きこもりに近い子たちである。・・・支援所に来て、仕事らしきものができるだけ、本当の引きこもりと言うのとは少し違うのだろうが、それでも皆二〜四時間支援所で作業…

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」について思う事、少々

村上春樹の最新作である。 正直、彼がこれからどこへ向かうのかはよくわからないけれども、自分的に多崎つくるという人物に対して少々思うことは、あまりにも脆弱な気がすると言う事だ。 彼は、一応死んでいる訳ではなく、仕事をして生きている訳だから脆弱…

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を初読して

しかし、これは不吉な作品である。「1Q84」をbook3まで読んだとき、私は何故か三島由紀夫の「豊饒の海」が連想されてならなかった。したがって、もしbook4が発売されるならば、それは聖書的世界に、さらに日本性を強く打ちこんだものになるだ…

五月

彼女は昨日恋人と喧嘩をした それはとても悲しく思えて彼女はお風呂で泣いた それから初夏の化粧をオイルで落とした後 深夜に小説にその経緯をつらつらと書いた 彼女は朝起きる それから白いシャツを洗濯する 匂いのきつい柔軟剤をたくさん入れて それから全…

問題児のプロたち

思い出すと、私が回復途上にいるとき、助けてくれたのは「問題児のプロたち」だった。 こう書くと、「問題児を扱うプロなの?」と誤解されそうだがそうではない。・・・むしろ逆で、本当の援助職のプロと言われている範疇からはみだした、「援助職の中のはみ…

銀河が終わる日

今夜 わたしは 青春が ある意味 おわったような気がしている 憧れとか 夢とか 飴細工とか そういうもので気持ちがいっぱいで 自分が からっぽだったのが 少しずつ 少しずつ 現実で埋まってゆくような…… わたしが好きになった人たちはみんな Mr.childrenだ…

3.11とブログとカネとミネルバの梟と。

最近思うのだが、ブログ界が低調である。・・・特に3.11以来。 要するに、本当の意味で「不透明な時代」が到来しているのだろう。東京大震災は起きるかも知らんし、原発はもう1個くらい爆発するかも知らんし、(あまり考えたくないけど、)富士山も噴火…

見合い写真

ひさしぶりに 銀座に出かけた ビルの五階にそのスタジオはあった お約束は二時です メイクさんの指示のもとに 深い眼窩を作る 髪を巻く コンサバティブな服を着る 目の下の皺が ぼさぼさの纏め髪が 個性が 全てライトのもとに こそぎ取られてゆく 一枚行きま…