サンライズ

面倒臭いということ

生きるという事が、 ふいに面倒臭くなってくる年齢があると、 突然知った。 正確に言うと、色んな些細なことがら(愛しているとかいないとか)に、 拘るのが面倒臭くなってくるのだ。 それは、特定の人に対してだけではない。 今まで気に入っていた買い物も…

六人

詩の同人に出掛けた。 まだ、道の陽差しは強くて、でも空気はからっとしていた。 隣駅に着くと、慌ててお土産のお菓子を探した。 迷った挙句、アマンドの6色のダックワーズを買った。 会場は、近くのコミセンの中の小さい部屋で、真っ白くて新しくて冷房が…

絵の展覧会

絵の先生の、展覧会に行った。 秋葉原からひとつJRを乗り換えると、 そこはガード下の下町だった。 地図にある、古い果物屋さんで道を聞いた。 おそるおそる、飲み屋さんの間を歩いてゆくと、 洒落た画廊の灯りがあった。 画廊にはいろんな絵がつるしてあ…

時代

忘れてしまえ 汚染されたフクシマの事なんか 忘れてしまえ 自分の足で立って歩けない人間達の事なんか 忘れてしまえ 都合の悪い第二次世界大戦の事なんか 時代は廻るよ ほら、両脚を蹴って勢いよく一回転して くるっと回って世界中を驚かすんだ サーカスの時…

夢の中へ

見合い相手は、「今どきの若者には夢がない」と言った。 「なんで引きこもるんだかわからない」とも言った。 それから、カラオケに行って飲もうと言った。 ・・・私は、”普通”のことをしている自分が嬉しかったけど、アイドル歌謡が、内心馬鹿馬鹿しかった。…

社会的な動物

人間は、社会的な動物だ。たった一人でいると、本物の自信も、自尊心も身につかないのだと、突然気がついた。他人と自分を比較するから自尊心が必要になる。他人と一緒に、普通にいたいから自信が必要になる。私は、同情してくれる人に囲まれてひとりぼっち…

かんちゃんとヨーヨー

幼馴染の、かんちゃんが屋台で焼きそばを焼いているという。 久しぶりに駆け付けた町内会は、小さくてあったかかった。 かんちゃんは私を見て、「ほんとに来ると思わなかったよ」とぼそっと言った。 突っ立っている私に、かんちゃんは「ヨーヨー作ってみる?…

べとっとした接吻

その人の接吻はべとっとしていた 勝手にわたしの体を触るので わたしは何だか気分がわるくなって それでもなんとか この、お金をきちんと稼いでいる人に合わせていた これまで付き合ったBFはこんなんじゃなかった いつも、私自身に触れたいから触れてくる…

戦う

人はみんな自分の悩みとは自分ひとりで戦って答えを出していると知ったのはつい、最近のことだった。私には小さい時からカウンセラーがついていた。彼らはいろんな、役に立つことも立たないことも おせっかいに教えてくれた。いつの間にか私は、人に聞いて悩…

ガッコウと骸骨

私はガッコウが嫌いだった。 ガッコウは湿っぽくて暗い感じがした。 小学校で、どもる私は特別学級に連れてゆかれた。 授業を抜けるたんびに皆がげらげらと笑った。 特別学級は、理科室の隣にあった。 私は矯正が終わると、理科室の骸骨を眺めに行った。 ホ…