面倒臭いということ

生きるという事が、
ふいに面倒臭くなってくる年齢があると、
突然知った。
正確に言うと、色んな些細なことがら(愛しているとかいないとか)に、
拘るのが面倒臭くなってくるのだ。
それは、特定の人に対してだけではない。
今まで気に入っていた買い物も、
趣味の対人関係も、
新しくチャレンジするのが億劫になってくるのだ。
今あるものと今ある場所で、生きて行ける歳に私は突然なった。
その替わりに、
今まで馬鹿馬鹿しいと思っていた色んな想い出が、
走馬灯のように鮮やかに煌いてくることがある。
自分の中で貯えてきたもの、
特に失敗したり脱線したことが、
急に、
愛おしく思えるような時間を、
あるいは「老い」と呼ぶのかも知れない。