現代版フーテンとは〜「貧乏男子」

このドラマのテーマは思うに結構深い。人情家の現代大学生一美(小栗旬)は、人助けが高じて百万円の借金を、説教サラ金のオムオム(ユースケサンタマリア)から作ってしまう。この借金を見事返済して、一時はフーテンに転落しつつ、人生勉強をやり直して、現代サラリーマンに返り咲いてしかも、なかなかの有能になりそうなところでドラマは終わる。

つまり、これは一昔前のフーテン「寅さん」とは完全にベクトルが逆である。苦労知らずの現代青年が貧乏を経験して、説教サラ金に説教されつつ、勝ち組へのパスポートを手に入れると言うストーリーなのだから。

しかし、思うに、時代がこうなってくると本物の「初代」フーテンの寅さんはいったいどこへ行けばいいのだろうか。立ち直るために、自助グループかなんかに行かなければいけないのだろうか。寅さんには寅さんのよさがあったと思うんだけどなぁ私は。

ここで、面白い味出してるなあと思うのは、一美の同居人で父親が事業に失敗しなんと一千万円の借金を持つお坊っちゃん、白石涼(三浦春馬)である。ブレイク寸前の三浦春馬が、いわば「女の子」のスタンスで出てくるところが物凄く面白い。究極は、このなよなよした少年が、一美の代役でピンポンで説教サラ金のオムオムを負かす当たりだろうか…。コメディ味びしばし利いております。結婚詐欺被害者常連のお巡りさんことメガネ(八嶋直人)も、いい味出してます。サビで毎回流れる「上を向いて歩こう」が秀逸。