2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ガッコウと骸骨

私はガッコウが嫌いだった。 ガッコウは湿っぽくて暗い感じがした。 小学校で、どもる私は特別学級に連れてゆかれた。 授業を抜けるたんびに皆がげらげらと笑った。 特別学級は、理科室の隣にあった。 私は矯正が終わると、理科室の骸骨を眺めに行った。 ホ…

ある男

ある人に、別れとも取れる手紙を出した。・・・返事は来ないけれども、私は彼を信用している。それは何故か。 ・・・彼はおそらく、叩けばいくらでも埃の出る男だっただろう。酒と女に溺れたこともあれば、人を騙すこともあるのだろう。しかし、その分彼には…

甘え上手な男

ここのところ、ずっと悩んでいた。・・・被災地から出てきて現在、就職浪人の彼のことである。 話はやや前後するが、私が40年間、境界例の母親と一緒に暮らして学んだことは、「人は裏切る。人を騙す。人を陥れる面がある」ということだった。 「殺伐とし…

あなたの腕は大きくて細かった抱きしめられて暫くじっとしていた部屋にはイランイランの香りがたち込めていてカーテンは静かな薄緑色だったそれから私は見たあなたの腕が四方八方に伸びてパキラの木のようにどんどん大きくなって部屋中をジャングルのように…