2009-06-17から1日間の記事一覧

青春は常に人を欺く〜「黄色い涙」

1963年夏、東京阿佐ヶ谷のボロ下宿に、4人の男が集まる。それぞれ漫画家、小説家、画家、歌手志望の青年たち・・・うらぶれた彼らに寄って来るうらぶれた女たち。金になる仕事ではなく、芸術をとの志とはうらはらに、実生活はちっとも先へは進まない。…

黒い鳩

雨の向こうに 墓石がいくつも 寺の中に見える 四角い石の群れだ 人の心は 業と共に空をめざす

毎年甘い柿の木の下には ひきがえるの亡き骸が埋めてある カラスは実をつつく コツコツ 余った分は家族の食卓に並ぶ 甘ったれた子供が口にほうばる

仏壇に夏の日差しが当たると 僕はガラス越しに父の面影を見る 若かりし日 日差しをかいくぐり 山登りに夢中だった父 幼い頃から 家族の面倒を見 カレーライスを作り ボーリングが得意で 喘息で倒れるまで 経営と戦っていた父 五分しか歩けなくなっても 毎日…

余白

私一人の部屋に オード・コロンの匂いがみたされ まがいものの真珠が 鏡台の上に投げ出されている 贅沢な時間 まだ出社には時間がある 少し背すじが痛い 思い切ってTAXYを呼ぼうか 軽くストレッチして ラジオをつける きのうの指輪をそっと外し さあ月曜…

ナイトクルーズ

彼女が 僕の唇をチロチロとなめた ファースト・キス とろけるバニラアイス ゆっくりと 君にひたってゆきたい くいしばった歯をむりやり 舌でひらかせ 僕はただ 気が狂いそうになった あれは12才の夏 君はゆっくりと 服をはぎとり 僕の乳首をきつく噛んだ …

ジェリー・ムーン

おぼろ月見えるよ ぼくの部屋の天窓から 太陽が見えるよ 君の部屋の窓辺からもきっと まぶしすぎる君の昼 うまく言えない僕の夕方 うまく言えない うまく言えない 好きだってうまく言えないよ 夜になったら もうちょっとましかなぁ 早く夜に 早く夜になって…

はじめに

あらゆる倒錯 死のゆめ タバコの灰皿 あなたの爪 引き裂かれたラ・マンに捧げます