映画つれづれ

善意は人を救えるか?〜「ノルウェイの森・DVD」

映画「ノルウェイの森」DVDを、先日本屋で見つけたので買ってしまった。それで、再び家で鑑賞して思った事を書く。 この、松山ケンイチ君演ずるところの「ワタナベ君」は、別に直子に悪意を持っている訳ではさらさらない。・・・性欲の吐け口にしている訳…

ベトナムの「回復」〜「ノルウェイの森・仏ベトナム版」

映画「ノルウェイの森」を見て、どうしても考えざるを得なかった事がある。 それはずばり、ワタナベ君が、直子を抱いた事はよかったのか悪かったのかと言う点である。 普通に考えれば、これは直子の閉ざされた心が、外へ開いて行くひとつのチャンスでもあっ…

タフな女〜「毎日かあさん」

「毎日かあさん」(映画版、小泉今日子&永瀬正敏)を、見に行こうと思っている。 これまで、どちらかというとそんなに好きでなかった西原理恵子(漫画作品自体はすごく好き)であるが、今回、その壮絶な半生をたまたま知って、やはり見直さざるを得なくなっ…

神を知らない悪女〜「嫌われ松子の一生」

・・・一時期、この映画は結構好きでよく見ていたけれど、ある時(具体的に言うと、中島哲也監督が「告白」を撮ったと聞いてから)何だか、真面目に見られなくなった。 この主人公、松子さんのおかしいところは。 一言で言って、(トルコ嬢はまだ、ともかく…

恋愛の原風景〜「ノルウェイの森・再々論」

先日、「ノルウェイの森」の映画版を見てきて、非常に面白くかつ、監督の手腕がなかなかにホームランを打った後のようにすがすがしく、感動させられたので、それについてちょっと真面目にコメントしてみたいと思う。 ・・・最近の、日本人の悪い癖だと思うの…

と・し・う・え・の・人〜「ノルウェイの森・実写」

いや、皆さん申し訳ありません。・・・うっかり、ガセネタを流しそうになりましたm(__)m。どこまでネタばれしていものか、悩みどころの「ノルウェイの森」ですが。。。ラストは、ほぼ原作と同じでしたよん〜♪ どこもかしこも喰いどころだらけで、面白かった…

我ら、善をなして死すよりは、悪をなして生きるべきか〜「ノルウェイの森」

まだ、「ノルウェイの森」映画版を見ていないが、どうやらネタばれによると、緑は最後の最後でワタナベ君に「待ってるわ」とか言うらしい。 これを聞いて、(嘘か本当か知りません、)私はう〜ん、と呻って椅子から転げ落ちた、というのは嘘ですが、かなり考…

醜いアヒルの子と7人の小人〜「電車男」

先日、この映画版を見て、なかなかに面白く、ゲラゲラわらいつつしんみりもしたのだが、確かいきつけの医者の待合室で読んだ、漫画版原作と、後半部分がかなり異なっていたので、今回のレビューでは主にそれについて触れたいと思う。山田孝之演ずる「電車男…

妻こそ同志〜「武士の一分」

2006年、話題をさらった木村拓哉&山田洋次の初コンビ時代劇。 ここで、キムタクとは、華のある俳優だなと改めて思った。特に、ちょんまげが似合う訳でもなく、着物姿がやたらと絵になる訳でもないのだが、それでも、質素な毒見役姿でも、5人並べばその…

へヴィな男〜「イエスタディズ」

さっきレンタルで借りて来て見た「イエスタディズ」。正直、途中から寝ていたので、(しかも最初から筋も科白もうろ覚え、)こんなところでレビューを書くのは気が引けるのだが、しかし一応書いてみようと思う。それも塚本高史のために。 はっきり言って、こ…

YOU’RE MY BEST FRIEND〜「下妻物語」

これは、二人の少女(ロリータ少女とヤンキー少女)の友情物語なのだけれど、実は洋画でこの原典があるので、今回は特別にそちらの説明をしようかと思う。 1980年公開の「タイムズ・スクエア」。・・・タイムズ・スクエアとは、もちろんNYの歌舞伎町と…

アニのその後〜「木更津キャッツアイ・日本シリーズ」

「木更津キャッツアイ・日本シリーズ」を見た。もちろん、(?)塚本高史目当てである。・・・やっぱり、TVシリーズを見ていないので、話が何がなんだか訳分からなかったが、衝撃だったのは、あのパツキンの、コンプレックスの塊みたいなアニ(塚本高史)…

VIVA!オールディーズ業界人〜「ラヂオの時間」

唐沢寿明の顔をスクリーンで見るのはいつも楽しい。先日、「20世紀少年」を見た。映画の内容は最悪だったが、彼のアップだけが見たくて1500円(会員料金です)を払った。・・・アラフォー以上で、唯一映画館のスクリーンを占領して不快でない顔立ちで…

ロックンロール・ウィドウ〜「嫌われ松子の一生」

珠玉作「下妻物語」の中島哲也監督の真骨頂を見せた作品である。 これは、今流行の恋愛依存症の女の一生を画いた映画であるが、ここに出てくる男達がとにかく酷い。特に準主役の二人がひどい。 まずは瑛太。一人二役なのだが、松子が夢中になる文学青年を片…

中年専門職おじさん頑張る!〜「ハッピー・フライト」

この映画のメインは、新米操縦士(田辺誠一)が、いかにして機長昇格への初の国際線フライト(と、言ってもハワイ行き)をこなすか、新人CA(綾瀬はるか)が同じく、天然キャラもろ出しでいかに上司にしごかれるか、というところにあるのだが、実は、それ…

ザ・純愛時代劇〜「ICHI」

市(綾瀬はるか)は盲目の、女だてらに滅法強い剣の使い手。しかし、「自分は生きているのか死んでいるのか分からぬ」と抜かすニヒリスト。対する十馬(大沢たかお)は、滅法明るい、しかし真剣の抜けない腰抜けである。・・・しかし、それには深い理由があ…

イケ面とは何か?〜「ハンサム★スーツ」

こないだ、「ハンサム★スーツ」を見た。流石鈴木おさむ、最初から最後まで、映画館の暗さにうんざりする暇も無く笑わせてくれた、泣かせてくれた、感謝。ところでこの、塚地武雄という俳優。確かに「不細工」ではある。しかし、よく見ると、顔立ちのどこかが…

ロンリー・キャンパス〜「ただ、君を愛してる」

これは、想い出の映画なので見返すのがつらかった。玉木宏が孤独系の青年、宮崎あおいが発達障害の病を抱えた少女(と、いうか同い年なのだが)を演じていて、この宮崎あおい演ずる静流がいつも下手な嘘をつく。「私は人よりちょっとオリジナル過ぎるだけな…

ロンリー・ガール・ミーツ・ア・ボーイ〜「きみにしか聞こえない」

これは孤独な少女と青年の出会いと別れの物語である。横浜に住むリョウ(成海凛子)は、小学校時代のトラウマで、ほとんど親とも友人とも口がきけない。そんな彼女がある日、公園で拾ったおもちゃの携帯からある青年の声がする。彼、椎名(小出恵介)は、長…

純情男子☆LOVE!〜「キサラギ」

これは一人のD級アイドルの死にまつわる、ファン(小栗旬)・友人(小出恵介)・マネージャー(ユースケ・サンタマリア)・幼馴染(塚地武雅)・そして父親(香川照之)のある一日の密室劇なのだが、この5人のキャラクターは、「恋人」というものの5つの…

下町古典ラブロマンス〜「しゃべれどもしゃべれども」

この映画で見る落語家・三つ葉(国分太一)の出る鈴本演芸場はさびれている。ヒロインの十河も哀しいようなクリーニング屋に勤めている。そんな東京下町の舞台に花開いた、なかなかどうして骨格のしっかりしたラブロマンスである。この話は、三つ葉が噺を獲…

青春は常に人を欺く〜「黄色い涙」

1963年夏、東京阿佐ヶ谷のボロ下宿に、4人の男が集まる。それぞれ漫画家、小説家、画家、歌手志望の青年たち・・・うらぶれた彼らに寄って来るうらぶれた女たち。金になる仕事ではなく、芸術をとの志とはうらはらに、実生活はちっとも先へは進まない。…