ラスト・プレゼント

あなたにまだ渡していないものがある

もはや25才にして青年の面影を失ったあなたに

年老いたわたしが

その肉体でもなく

その精神でもなく

まだ手渡せるものがある

すっかりしたたかなおやじになったあなたに

ロックを卒業したあなたに

ゴキブリみたいな男に成長したあなたに

最後に手渡したい音楽がある

だから動けない私のために

どうかこの街まで車を飛ばしてきて

それが教養だけを武器にして生きてきた私の半生のラスト・プレゼント