優しい

 私は、いつも親から周囲から、「優しい子
ね」と言われて育ちました。内心、それがと
ても得意でした。
 大学は、福祉学科を選び、まっすぐに精神
福祉士になり、障害者のお世話を、小さな作
業所でするようになりました。夫は、そこで
知り合ったスタッフでした。
 私は、毎日毎日精神を病んだ人たちを助け
て過ごしました。一緒に、料理をしたり編み
物をしたりしました。私の悪口を言う人は、
一人としていませんでした。
 私は、この上なく幸せでした。半年後、愛
する夫との間に、赤ちゃんを授かりました。
 生まれてきた子供は、精神薄弱児でした。
私は、初めて泣きながら思いました。
「神様の馬鹿野郎。閻魔さまに舌抜かれて
死んじゃえ」