ぶす

 「ぶす」「不細工」と、散々ののしられた
あたしは、やっとの思いで、ハンサムな夫を
手に入れた。有頂天なのもつかの間、生まれ
たのは、自分とは似ても似つかない美人だっ
た。
 悔しい。あたしは、娘に似あわない服ばか
り着せた。「美人、美人ていわれて舞い上が
ってるあんたは、なんて醜いの」
 作戦は成功し、娘はひねくれてみっともな
くなってきた。
 なのに。年頃になった娘は、どこからか不
細工だけど3高の男を連れてきた。
 逆上したあたしは、ウェディングドレスを
ナイフで滅茶苦茶にした。と、「義母さんは
病気だよ。僕が面倒見よう」。娘の夫は、精
神科医だったのだ。
 今、あたしは鉄格子の中にいる。