就労支援所

疲れ果てた
蒼白い顔、顔、顔、なかなか動かない手足、
休憩ばかりの調理実習、
皆、腰を降ろしてはだるい体を懸命に動かしている
「またさぁ
薬増えたんよ 今度は一日30錠だって」
午前中働くだけで疲れ果てて
ビルの裏にこっそり、煙草をふかしに出掛ける
「私さぁ
こないだ台所の食器戸棚ひっくり返した
お前なんか税金泥棒だってお母さんに言われて」
服もバッグもお互い物々交換で
350円のランチが食べられなくて100円のカップラーメンを啜る子がいる
「お金ない お金ないよ
でもあたしたち 自己責任だから仕方ない」
古い流行遅れの服に年季の入った靴
わきがも剃れない常識外れ
大ぶりのアクセサリーに若気な手作りのシュシュが痛い
「鳩山さんの演説ってよかったよねぇ
宇宙とか友愛とか現実と関係ない話ばっかりで」
三日間水しか飲めなくて一人暮らしのアパートで倒れた子もいる
職員は戸を蹴破って119番した
「お前らさぁ 働く勇気が出ないだけなんだよ
俺らいつでもフォローしてやるのにさ」
ひたすら医師の言う通りに薬漬けにして 家の体裁を気にして
最後は施設が何とかしてくれると拝む親たち
「あの子 グループホームで虐められてさぁ
20年間閉じ込められてた病院に戻ったってさぁ」
矯正施設の塀から飛び降りて患者が亡くなると
親御さんは皆手を合わせて
厄介ものをありがたい、と拝むと
ピアサポートをしている友人に聞いた
「あなた方の親はいい親ですよ
あなた方のお医者さんはみんないい先生ばっかりよ
こうして お金の心配をしてくれているのだから」
嘘をついたらいけない
ここにいる誰もが人に愛されたことが一度もないのだ
「チーフってきついよねぇ
あたしたちの親からお金取って、ここ経営してんだもんねぇ
だから 取り敢えず文句言えない」
一か月働いて
給金は8千円行けばいい方だ
ありがたいよねって頭を垂れる自尊心のない脳
「あなたがたを
怠け者と言うのは嫌いだけれども
働くってこんなお遊びじゃないのよ」
蒼白い顔が
動かない表情が
わたしは必死にやっていると無言で訴えている
「切ないよぉと
誰かに訴えたいよね」