見えない薄い膜が消えた時〜「春よ来い」

お正月に、近くのスーパーの福引きに並んだ。

末等5000円と言うので、結構沢山の人がいた。・・・私は100人目位に並んでいた。朝のスーパーは寒くて、乾いた感じがした。

中に、あんまり可愛くない女の子が、でもはしゃいでお父さんとお母さんと手を繋いで騒いでいた。

私は、それまであんまり冴えない人を見ると、すぐ心の中で馬鹿にする癖があった。でも、その子を見ている内に、「ああ、これは小さい頃の私なんだ」と、ふと、思った。

その、福引きの行列に並ぶまで、私にはいつも、街で歩いている人と自分の間に、薄い膜があるような気がしてた。自分は、色んな意味で変わってて特別で、愛されてなくて皆と違うって思ってた。

でも、その時ふと、私は行列の一員になれたのだ。

可愛くなくっても、自分がどっちかというと嫌いでも、それでも私も社会の片隅で、ひっそり存在していていいような気がふとしたのだ。

その、女の子が誰かにいつか愛されて、お嫁に行くだろうことを、私は疑わない。