「父」という名の人

それでは、私の「父」という名の人はどうだったのだろう?

「父」は私が嫌いだった。

その人は、いわゆる性的虐待すら、しなかった。・・・ただ、本当に怒ると殴るだけだった。

「性的」に、「父」にとって私は一文の価値もなかった。

「父」はひたすらこう言った。

「お前は能面で、人形のようで、表情がなくて愛情が少しも湧かない」と。

今も、「父」は遠まわしに同じことを言う。

それでも、私のマンションに来るのは、単にご飯が安く食べられるからだ。

・・・皿を必ず洗ってゆくのは、もう加齢で私とは肉体的な強さが逆転していて、

私が怒りだして、「父」を殴りつけるのが怖いからなのだ。