ガッコウと骸骨

私はガッコウが嫌いだった。
ガッコウは湿っぽくて暗い感じがした。
小学校で、どもる私は特別学級に連れてゆかれた。
授業を抜けるたんびに皆がげらげらと笑った。
特別学級は、理科室の隣にあった。
私は矯正が終わると、理科室の骸骨を眺めに行った。
ホルマリン漬けの水槽の隣にある骸骨は、
静かで黙っていて私をいじめなかった。
私は骸骨と内緒で友達になった。
それでガッコウはほんの少しほの明るくなった。

中学校はすこし明るい感じがした。
でも、私がすぐキレるのでやっぱり友達は少なかった。

一生懸命がり勉して、高校に入ったら、
いよいよ友達がいなくなった。
うっかり色つきの靴下をはいて行って、
嫌なあだ名をつけられたりした。
ロックの雑誌に文章を書いたりしたけれども、
認めてくれる人はただの一人もいなかった。
私はいつの間にか部屋に引きこもるようになっていた。

ずっとたって、PCを叩いていて仲間ができて、
電車にもまた乗れるようになって、
詩のサークルに入るようになった。
ある日、
ガッコウを避けていたのは自分の方だったことに
気がついた。
しばらくしてFBで出会った同窓生は、もうこわくなかった。
みんな親切で、きつい忠告もちゃんとしてくれる友達だった。
私はさみしい骸骨と黙ってお別れした。