べとっとした接吻

その人の接吻はべとっとしていた

勝手にわたしの体を触るので

わたしは何だか気分がわるくなって

それでもなんとか

この、お金をきちんと稼いでいる人に合わせていた

これまで付き合ったBFはこんなんじゃなかった

いつも、私自身に触れたいから触れてくる感じだった

この人は違っていた

Hがしたいだけで相手は私でも誰でも別にいいのだと思った

だけども、自分からホテルに入ってしまったので仕方がなかった

私は自分がこの人の玩具になったような気がした

朝になって、またべとっとした感じで「しようよ」と言われた

私はやりきれなくなって咳込み始めた

それで、その話はお終いになった

その人は怒ったのか、財布がさみしかったのか「ホテル代を三分の一出してくれ」と言った

私は黙って千円札を数枚渡した

それで、機嫌がよくなったこの人と、一階でホテルのモーニングを食べた

トーストは美味しくも不味くもなかった

結婚するってこんなものかと私はパンを齧りながら思った