四人の妖しい男達〜「西洋骨董洋菓子店」

・・・私の、30年以上に亘る漫画歴の中で、今の所No.1に輝く作品である。

この話、構成の素晴らしさや、テーマの重さも去ることながら、(TV化・アニメ化もされている)やはり面白いのは、その雰囲気の独特のエロさである。四人の男が小さなケーキ屋をやりました、はい、というだけの作品と言えばそうなのだが、この四人の関係が尋常でない。

この4人がもし女性であったなら(と、言っても、4人とも強烈な個性の持ち主で、いわゆるBLの女役的では全くないのだが、)どの人物が、一番自分に近いかなとずっと考え続けていたのだが、実は一番遠いと思っていた、小早川千影なる男性が一番近いことに最近気づいて、少々愕然とした。

千影とは。どういう人物であるかと言うと、一言でいって「男版ドジっこウエイター(ウエイトレス?)」なのである。・・・はっきり言ってハンサムなので、店の看板にはなっているが、コーヒーは運べない、ケーキの値段もろくに覚えられない、店長の橘におんぶに抱っこで、しかも真性ゲイであるパティシェの小野に、ちょっと誘惑されただけで、すぐ自分も好きになってしまうと言う、まぁ赤ん坊のような男である。

これに気づいた時は、かなりにショックを受けたが、考えてみると自分も過去たった1ヶ月でファミレスを首になったのをふと思い出して、ますます落ち込んだ。

自分的には、クールなパティシェである小野と言うキャラクターが、一番気に入っていたのだが、何やかや理由はつけていたが、自分もここまで千影と同じで単純と言うか、要するに小野のセックスアピール(しかも、彼は自称『魔性のゲイ』であるから、本来は男に対する筈の魅力・・・)に参っていたのかなぁと感じて、さらに二重に落ち込んだ。

どうも、毎度作品の解説に全くなっていなくて申し訳ないのだが、少々付け加えるならば、店長の橘(あくまでノンケ)は、実はこの小野の初恋の相手であるという、実にややこしい設定になっている。まぁ妖しい関係と言えばその通りである。

・・・この作品、実は月9でTV化されているので、そちらで記憶に残っている方も多いと思うが、色々バージョンがある中で、私が一番のお勧めなのは、実はアメコミ版である。もちろん、日本語の原作を英訳したものだが、こういうエロい話のくどさが、何故か英語ではすっきりとまとまっていて非常に読みやすい。大変入手しにくいとは思うのだが、自分的には最高だと思う。

どうも今回もやっぱりきちんとしたレビューにならなかったが、単に妖しい話と言うのと違って、かなりに奥深いストーリーなのである。テーマは・・・そう、まだ私にもうまくは説明出来ない。結局、ある破綻した人間関係のその後を描いた作品とでも言えばいいのだろうか。少女漫画から、一歩大人になろうとする人にお勧めである。