Giver〜「愛すべき娘たち」

よしながふみの、女に関する短編5編。

はっきり言って、最初読んだ時はどうにも違和感があってダメだったのが、今はすんなり読める。実に、女なるものの本質・・・(と、いうか女にそもそも本質なんてあるのかなぁと言う気も、最近するが)を描き切った珠玉作であると思う。

一番、興味深いのはやはり第3話であろうか。この主人公、莢子は、実に魅力的な女性なのだが、人に尽くすのが好き過ぎて、祖父の介護で嫁き遅れた結果、見合いをするのだが、「恋と言うのは、人を分け隔てることだ」という結論にとうとう達する。・・・つまり、全ての人に対してGivarでありたい自分に結婚は無理だと言って、修道院に入る事を決意するのである。

まぁ、この女性、莢子は極端な例であると思うが、この女性像は、ある意味全ての女の中に住んでいる一種の心理的原型ではないかと思うように最近なった。

母性と言うのは、本来全ての人間に対して向けられるものであって、ただ一人の男性に向けられるものではない。つまり、一人の「女性」を完全に所有するということは、男には無理なのだ。

なんか、哲学的なことを思わず書いてしまいましたが、そんなに一見難しい漫画ではこれはなく、むしろ日常が淡々と綴られている名作なので、誰にとっても興味深い一作だと思う。

最後に、帯のあおり文句を引用して終わりにしたい。

「ある日突然、受け入れる。ある時いきなり全て赦す。オトコには解らない、よって愛しい女達の物語が5本。」