上を向いて歩こう〜「華麗なる一族」

なんか、皮肉極まりないレビューの題名になってしまいました。が、別に他意はなく、(嘘)本当に、この人気TVドラマの中で、「上を向いて歩こう」が唄われているから、カキコしただけなんだけど。

この主人公、鉄平(キムタク)を見ていると、人間、「上を向いて歩いている」と、鬱になって死んでしまうんだなぁと実感する。・・・鉄平は、何一つ悪いことはしていない。いわば、現代のキリストのような造形になっている人物である。そういう人間と言うのは、周囲の罪を背負って、自殺してしまうのですね、はい、お終い。では、行数が埋まらないからもう少し書いてみよう。

これを放映していた頃、ネットではちょっと面白い騒ぎになっていたのを、私は知っている。と、言うのも、これ、リメイクであるからして、例えば、妻妾同居とか、舅による嫁の強姦と言った設定が、若い世代には「ヘンタイ」としか映らないものを、もうちょっと年の行った世代が(つまり、原作をリアルタイムで読んでいた世代ですな)が、懇切丁寧に、往時の事実関係を説明したりして、ちょっとした時代劇解説ならぬ時代解説のようになっていた。

・・・他にも。例えば、鈴木京香が演じていた愛人にしても。あれは、(実は、私自身もかなり必死に解説したのだが)イチローの時代とは違う、深い業を背負った女であるとかエトセトラ。多分、原作者、山崎豊子の自画像的な面もあるんだろうとか。とにかく、老若男女だけでなく、関西・関東の文化についても票が分かれて、論が尽きなくて非常に面白かった。

話を、元に戻そう。・・・多分、山崎豊子は、男社会の中で、この鉄平のように肩肘張って生きてきた女性なんだろうなと想像する。(もちろん、美馬中のような実際的な面もあったのだろうが。)女が、社会派小説を書くと言うのは、大変な事なのですね。脱帽。

ちなみに、TVドラマの中では、いつも一番のサビでイーグルスの「デスペラード」が流れて、(これもキムタクのリクエストだそうだ)やたらめったら雰囲気を盛り上げていたが、DVDには著作権の関係なのか、全く存在しなくて、本当にがっかりした。DVDレコーダーで、録画した人、生涯の財産ですぞ。・・・出来たら要らない人、私に頂戴〜〜。(ウソ。)