親は子供を愛するか?〜「Blue Moon」

いきなりのタイトルで恐縮だが、森脇真末味という人は、作家生命を通じて、この主題を追った人のような気がしてならない。で、その集大成が、この「Blue Moon」であるような気がする。

で、ここで出ている答えは、「NOの場合もある」でしかないような気がする。

・・・実は、私が今まで付き合った男性と言うのは、(一人を除いて)ほとんどこれであったような気がする。「親に愛されていない、あるいは愛された経験のない」人ばかりであったような。で、私がそういう男性を許容する度量があったというより、むしろそういう点で、共感と理解をお互いにはぐくむ事で、何とか今日までサバイブしてきた気がしてならない。

どうも、暗い話題になって申し訳ないのだが、私の成育史と言うのは、これを避けては通れないので、あえて仕方なく書いている。・・・結局、西尾和美さんの名著(ということになっている)『アダルトチルドレン癒しのワークブック』が出来ない、やらなくていいと言う境地に達して、最近やっと生きるのが苦しくなくなって来た。逆に言うと、「親に愛された実感がない」ことを否認しないようになって、やっと現実に適応出来たというか、楽になって来た気がする。

考えてみると、初恋の相手と言うのは、2度目の父親に折檻されているのを、母親が笑いながら見ていたという人だったし、初体験の相手と言うのは、祖父と父が自死していると言う、何か『犬神家の一族』みたいな経歴の持ち主だった。(ちなみに、一人の例外と言う男性とは、私が「私は、お母さんお誕生日おめでとうとは言えない」とふと言った事で、非常に相手が機嫌を害したので、恋愛関係がご破算になった。)

どうも、こう書き出してみると、真っ暗な話で本当にこれを読んでいる方にはすいません、としか言いようがないが、しかし、あるでしょう「親との和解」と言う神話。親が、自殺しちゃったら和解も何もないから、まだ話の通りがいいが、私の場合、親が生きているのに「和解=無理」と言う結論を、ドクターもセラピストも、警察も出しちゃったので、(嘘のような本当の話、)で、自分自身もそれを受け入れる事でしか、心の病が治らなかったというのが、現実でした。

で。これは、そういう方に是非お勧めの、森脇真末味にしては珍しい長編(オムニバス?)なのだが、現在どこで入手できるか、ちょっとあやしい。それだけ、暗くもあり、またある意味社会の通念を破った一作ではあったのだろうが、埋もらせるのはちょっと惜しいので、あえてここで紹介してみた。・・・まんだらけ辺りにはあると思うんですがよく分かりません。興味を持った方は、頑張って探してみて下さい。