クックロビン音頭を踊る時〜「パタリロ!」

魔夜峰央という人は、なかなか大変な、現代の才人なのであろうと想像する。この出世作(というか代表作)「パタリロ!」においても、まず、男色家でもないのに、男色家を副主人公にするというところがおかしい。第2に、このパタリロという主人公の造形がおかしい。第3に、自分の似顔絵が必ずタモリに似ているところがおかしい。

・・・他にも、色々おかしいところはあるが、中でもおかしいのはこの「クックロビン音頭」であろう。当然、原典はあの「ポーの一族」から来ているのだが、その中の名作の名フレーズを馬鹿にしきっている。

にも、関らず。最近特に、よくこの「クックロビン音頭」を自分で踊りたくなる瞬間がある。・・・それは主に、自分の恋愛における「勘違い」をズバリと指摘された瞬間である。

例えば、最近好きになった人が、ケーシー高峰(の若い頃)に似ていると言われた瞬間。例えば、それは捨てた彼が、実は自分を捨てて旅立って行ったのだろうと指摘された瞬間。例えば、それはお互いに父親と母親を求め合っている関係だろうと指摘された瞬間。・・・以上のような瞬間に、この手を頭上にあげて片足を後ろに出した「クックロビン音頭」を踊りたくなるのである。

と、ここまで書いて気づいたが。「パタリロ!」のギャグも、基本的にこのような、「自分のアホさ加減」を、主人公や副主人公達が晒すたびに成立しているのにやっと気がついた。つまりは、かなりに自虐的ギャグを、みじめったらしさ抜きで、あっけらかんと晒すところに「パタリロ!」の真骨頂があるらしい。

この、「自虐をゲラゲラ笑いながら晒す」と言うスタイル、実は私もお気に入りでよく使う。・・・中島哲也辺りにも共通するスタイルかなと思う。ギャグ漫画家がよく使うネタではある。古いところでは、「バカボンのパパなのだ〜」等にもある、白けた感じと言えばいいか。おっと、そういえば赤塚不二雄亡くなったんですね。かなり前ですみませんが、合掌。

天才バカボン」というのも、ちょっとそういえば「パタリロ!」に共通する味があったなぁと今深く噛み締めている。もっともっとシュールでしたけどね。

とにかく。(?)。自分が、馬鹿に思えたら、是非とも踊ろうクックロビン音頭。・・・って、今回もレビュー纏まってなくてすいません。