房総の海

詩のサークル仲間で、房総半島へ行った。

冬とも春ともつかぬ海は、寒くて広くて大きかった。

仲間と一緒に、岩を越え越えあてどもなく歩いた。

先生はただ孤独を祝うように佇んでいた。

私は今まで、居る場所なんてなかった。

でも、これからは例えどんなに生きづらくても、この現実の中で生きてゆくしかないのだ。

海と重なり合った空は、そう告げているようだった。

夕方から夜にかけて、

私たちが鯨や鰤や鯵を食べている間に、

波はどんどん高くなり、海は暗い群青色に変わった。

この群青色から、全てが生まれまた還ってゆくのだろうか。

石に波はざぶんざぶんとまたはじけた。

高く白く激しく跳ねた。

私の出発を祝うように。