夏のうだるような午後
窓からは非常用の螺旋階段が見える
毎日 この階段の裏に広がる青い空と雲を見てきた
空は曇って ときには雨模様の日もあった
でも
必ず一歩一歩 この螺旋階段を昇るようにこれまで歩いてきた
たとえ人に憎まれても
疎んじられ裏切られても
それはいつか自分の豊かな肥やしになり
生きていることが楽になり 居場所がきっとみつかるのだと
信じてこれまで きつい階段を昇ってきた
台所からは 鰹ととうもろこしの焼ける匂いがする
もうすぐ 父が扉をノックして夕飯を食べにやってくるだろう
明日はきっと梅雨明けだ