あなたの腕は大きくて細かった

抱きしめられて暫くじっとしていた

部屋にはイランイランの香りがたち込めていて

カーテンは静かな薄緑色だった

それから私は見た

あなたの腕が四方八方に伸びて

パキラの木のようにどんどん大きくなって

部屋中をジャングルのように覆ってゆくのを

すっかりマイナスイオンに包まれた寝室で

私とあなたは安心して睦みあった

父ライオンと子ライオンのように

外は森閑としていて紺色だった

時々上の部屋の人の寝息が聞こえた

充電中の携帯のシグナルが二台枕の上で赤く灯っていた