くそ真面目な女のコメディ〜「マダムとお遊戯」

・・・レビューの題名と、漫画の内容が相反するものになってしまったが、あえてお許しを。

自分はつくづく、くそ真面目な女であると最近思う。色々自己韜晦はしているが、実際には不倫とか一切出来ない。(これ本当。)もちろん、一夜限りのアバンチュールとか割り切って出来るタイプでもない。・・・ある人には、価値観が70年代で止まってるんだろうと言われた。キツイ一言である。

で。そんな自分が、ゲラゲラ笑いながら読んでいるのが、松苗あけみの本作である。

この作品。「お遊戯」としては、セクシュアルにいい加減なことこの上ない。男色はあるは、浮気はあるわ、はっきり言って破茶滅茶である。にも関らず、安心して読んでいられるのは何故か。・・・

それは、このマダム(扇子夫人)と、夫と子供(・・・実の子ではないのだが)の関係が、実に安定した信頼関係でがっちりと結ばれていて、007ではないが、どこまで遊んでも、結局はボンドがくそ真面目に上司の命令を遂行するように、結局はこの親子3人が、いつも幸せに落ち着く設定になっているからだろう。

しかし、フィジカルにはいい加減極まりないこの作品。何か、精神的には、いつも落ち着くところに落ち着いてしまうのが、昼メロ以上に安定感である。・・・こういう夫と子供いたらいいなぁと真剣に(嘘)思うけど、そこがエンターテイナー松苗あけみのニクイところなんでしょうね。回りの人間は、こんな親子がいたら堪ったもんではないだろう。

特に、可笑しいのが、いつも損な役回りに落ち着いている、マダムの息子の実の母親である(筈)の、千代の設定である。・・・何故か、この千代の方が愛人然とした風采で、やることなすこと水臭いことこの上ないのに比べ、マダム扇子は、どんなに遊ぼうが、何故か優雅を失わないのが本当不思議である。

くそ真面目な女であるのか、優雅な遊び人であるのかよく分からない松苗あけみ一条ゆかりの、コメディエンヌな部分の正統的な後継者ではないかと最近思うようになった。やっぱり、コメデイは昼下がり、寝っ転がって読んでいられないとダメですね。