回避依存症者〜「男は寡黙なバーテンダー」

私は、森脇真末味と言う人の素顔を(当然の事ながら)知らない。・・・が、おそらくかなり男っぽい人なのであろうと言う事は、作風から何となく想像する。で、その中の傑作がこの「男は寡黙なバーテンダー」である。

・・・作家と言うには、もちろん想像から、男女両方が描き分けられなければいけないだろう。この主人公、金子義国も当然、想像の産物なのだろうが、女性が描いた男性にしては、ちょっとリアリズムがありすぎて怖い。

「男は寡黙なバーテンダーであれ」と言うのは、某ハードボイルド作家の科白であるらしいが、この金子義国はまんまそのような男である。

ちなみに、私自身はと言うと。どちらかと言うと、地は男っぽく、根は限りなく女っぽい性格かと、自分でも思うが。この、金子氏の気持ちは一方で何となく最近分かるような気がする。

大抵、女を避ける男とか、浮気する男と言うのは、一人の女に尽くされている内に、段々窒息しそうな気持ちになって来て、そういう行動に走るらしいが、この金子氏は所謂ゲイではあるが、どうも普通だったら、そのようなタイプの男が、かえって行き過ぎて女嫌いになったのかなぁとも思える。

何で、そう思うかと言うと。実は、私はたまに勘違いされて年配(の場合が多い)の女性に破茶滅茶に尽くされる事がある。・・・これが実に、嫌な体験なのである。何か、贅沢を言っているようだがそうではなくて、なんか自分の時間と居場所が侵食されるような、実にイヤ〜な疲れる事なのである。

で、この「寡黙なバーテンダー」こと金子氏は、どうもそういう種類の(つまり、女性に尽くされやすくもてやすくて、それが心底嫌いな)男性であるかのように思われる。

で、私はそういう男性にべったりして逃げられる事が多いのだが、最近どうも、あれは男性が薄情なのではなく、自分がしつこいのであって、いい男は「寡黙に」女に耐えるもんなのかなと思ったりもする。実際は、それが面白くて堪らない、何かそういう女性に魅力を感じて堪らないという男性もいるんでしょうが、まぁ普通はどっちかが追えば逃げるもんだよね。

逆に。そういえば一度だけ、「女性にひたすら尽くす男性」と付き合ったこともありますが。非常に向こうが誠実だったにも関らず、何故かこっちが玩んで捨てる結果になってしまった事があります。(・・・すいません。)事ほど左様に、男女の関係言うのはムツカシイです。